【Blenderで銃をモデリング】3DCGで火縄銃を作る方法

  • 2021年7月17日
  • 2021年8月9日
  • 3DCG

今回はBlenderモデリングする方法を解説します。

をモデリング する、というタイトルを見て来て下さった方、もし現代の銃器をイメージしていたとしたら申し訳ございません。

本記事はと言っても戦国時代の日本の火縄銃3DCGでモデリングするというマニアックな記事になっています。

火縄銃が使われていたのは主に日本の戦国時代です。

戦国時代当時、この火縄銃の登場によって戦術は大きく変わりました。

江戸時代では平和な世の中であったため競技用、農村での狩猟、害獣対策用に使われていたという程度だったとか。

ですので火縄銃の3DCGモデリングなど戦国時代を舞台にしたゲームを作る人でもない限りは需要のない技術でしょう。

しかし‼ 逆に言えばいきなりモデリングしろといわれると方法がわからず、どうしようかなと迷う人もいることでしょう。

この記事は以下の方のために描きました。

・歴史をテーマにしたゲームを作るプロジェクトに参加していて、火縄銃をモデリングすることになった

・火縄銃を3DCGで作ってみたい

・火縄銃のデザインが好きだ

・火縄銃に歴史のロマンを感じる

 

この記事では火縄銃の構造からモデリング・テクスチャの過程まで紹介していきます。 これを読めば火縄銃をモデリングする際にどのように考えていけばいいかわかるようになります。

それではいってみましょう!

 

 

火縄銃のモデリングで使用するソフト

今回は以下のソフトを使用します。

・Blender

・SubstancePainter

・Clipstudio

 

他の記事でモデリングした 日本刀 でも使用していたソフトですが

このブログを始めてごらんになってくださった方に向けて各ソフトウェアの簡単な解説をいたします。

 

BlenderとSubstancePainterについての情報はこちらの記事をどうぞ!

 

Blender

Blenderは無料で使える統合型の3DCGソフトです。

統合型のソフトとは、3DCGに関する技術であるモデリング、アニメーション、映像制作などほぼすべてのことができるソフトウェアということです。

ここではこのBlenderをモデリングに使用します。

ダウンロードはこちらのBlenderウェブサイトからどうぞ。(無料です!)

 

SubstancePainter

SubstancePainterは3Dオブジェクトのテクスチャ作成に使うソフトです。

モデリングしたオブジェクトに3D空間の中で直接ペイントするような感覚でフォトリアルなテクスチャを作成することができます。

SubstancePainter をここではテクスチャ作成に使います。

使ってみたい方はSubstancePainterのサイトからどうぞ!(体験版のみ無料です!)

 

CLIP STUDIO PAINT PRO

CLIP STUDIO PAINT PROはマンガやイラスト作成に使用されるソフトです。

イラスト・漫画作成に便利な機能が豊富にそろっていて、デジタルで絵を描く人たちに大人気です。

ここではCLIP STUDIO PAINT PRO をデザイン画の作成に使います。

使ってみたい方はCLIP STUDIO PAINT PRO からどうぞ!

 

BlenderとSubstancePainterについての情報はこちらの記事をどうぞ!

 

 

火縄銃とは

実際に製作に入る前に、今回モデリングする火縄銃とはなにか少し説明しておきましょう。

ここでは以下の内容を解説します。

・火縄銃の歴史

・火縄銃の構造

 

え?銃のモデリングの方法を説明します的な内容なのにそんなところから解説するワケ?

ちょw 前置き長くない??

…というお声が聞こえてきそうですが

・自分がモデリングするものがどんなものか、

・道具や武器であればどのように使われているか・使われていたか

・どのようなパーツがあるのか・・・

などなど、このようなことを考えれば考えるほどリアル度の高いオブジェクトを作れるようになるものです。

とはいえ歴史学者や鉄砲職人のような高レベルな専門家の知識は必要ありません!(笑)

ここでは3DCGデザイナーがモデリングをする際にこの程度は知っておけばいいだろうという内容を解説いたします。

 

火縄銃の歴史

火縄銃は1543年、ポルトガルの貿易船から九州の種子島にもたらされました。(中国商船からだとか、それ以前からもつたわっていたという説もありますが…)

その種子島の刀匠が火縄銃を研究し、複製に成功します。

その後、国産化が進み火縄銃は十数年で日本各地に拡散し、各国の武将たちが合戦に取り入れていきます。

日本で火縄銃が使われた最初の合戦は薩摩(現在の鹿児島県)だったと言われています。

そうして数々の合戦で使用されていきましたが、もっとも有名なのは織田信長武田勝頼の軍隊が戦った長篠の戦いではないでしょうか。

主力武器として大量に使用されたことと当時影響力の大きい国の武家を倒したということで火縄銃の存在は戦国の世において一気に高まっていったことでしょう。

 

火縄銃の構造

火縄銃は主に以下のパーツで構成されています。

3DCGでモデリングするときにはこの程度のパーツ名を知っておけばいいでしょう。

 

 

 

 

火縄銃の使い方

巣口(銃口)から鉛の弾丸を入れて

火皿に黒色火薬を入れる

火縄で点火

引き金を引くとからくり構造により火挟みが落とされ、火薬に点火。

筒(銃身)内部で爆発を起こしその衝撃で鉛の弾丸を飛ばします。

 

 

 

Blenderで火縄銃をモデリング

長々とお付き合いいただきありがとうございます。

これより実際のモデリングに入っていきます。

 

以下の手順でモデリングしていきます。

・デザイン画作成

・筒(銃身)・台木(銃床)、元目当のモデリング

・火皿・火蓋のモデリング

・火挟み・弾き金・引き金・用心金 各主小物のモデリング

・UV設定

 

それは各パート解説していきましょう。

 

デザイン画作成

火縄銃の画像資料をできる限り集めたうえでイラストを描きしました。

ファンタジーのアイテムなどと違って実際に存在するオブジェクトは写真資料をみるだけでも作れはしますが、絵として一度でも描いておくとイメージが作りやすくなります。

金属の部分に文様が彫り付けてある銃も多いですが、ここでは装飾のないシンプルな火縄銃にデザインしました。

 

筒(銃身)・台木(銃床)、元目当のモデリング

 

イラストができたらBlenderの3Dビューポートにドラッグ&ドロップして配置します。

そのあと Shift+A 立方体円柱を出します。

円柱は頂点数を8にし、八角形の棒ができるようにします。

編集してこの倍場合はX軸方向に伸びる四角柱、八角の棒を作っておきます。

四角柱は台木(銃床)、八角中筒(銃身)になります。

四角柱にShift+Rループカットを数か所施し、ポリゴンを編集して銃床の形を整えます。

 

 

銃身も作りますループカット(Shift+R)を繰り返し

巣口(銃口)の形を作ります。

銃口の穴そのものは丸いので頂点数を増やし円形にしました。

三角ポリゴンにしていますが銃口の周りを編集することはもうありませんのでこれでよしとします。

SubstancePainterやUnrealEngineなどの外部ツールにインポートした時点で多くの四角ポリゴンは三角ポリゴンに変換されるのでその点は気にする必要はないでしょう。

 

 

照準を合わせるための突起、元目当も作っておきます。

立方体を編集してモデリングしました。

 

筒(銃身)・台木(銃床)がモデリングできました。

 

 

 

 

 

火皿・火蓋のモデリング

続いて火皿と火蓋のモデリングです。

最初に火蓋と火皿が一体化したような形を作り、そこから中間部で分離させて火蓋と火皿をそれぞれ作ります。

Ⅰ … 円柱を大小二つ配置します。

Ⅱ … 大小の円柱メッシュを半分削除

Ⅲ … エッジを押し出す

Ⅳ … 大小のメッシュをつなぐ

Ⅴ … 面をスムーズにする

Ⅵ … 火蓋、火皿のパーツに分離する

 

ここでは火蓋は画像のように開くような構造にしています。

こうしておけば火蓋を開いて銃を撃つ演出ができるかもしれません。(笑)

 

火挟み・弾き金・引き金・用心金 各主小物のモデリング

各種小物のモデリングをしていきましょう。

・火挟み … 円柱のポリゴンを編集してS字型を作り、火挟みの形を作ります。

・弾き金 … ドーナツ型のトーラスを編集して作りました。

・引金  … 立方体を編集して作りました。

・用心金 … こちらも立方体から編集をはじめて湾曲した形をモデリングしました。

他に、目釘、弾き金などの小物も同じ要領でオブジェクトのポリゴン編集でモデリングしていきましょう。

 

上から見ると台株(銃尾)は先が細くなっています。

ラティスで台株と地板などのパーツの形を調整します。

各種のパーツを全選択し、ラティスを表示し一気に先を細くします。

 

 

UV設定

UVはこのように設定しました。

全パーツを選択し、編集モードに切り替えます。

さらに全メッシュのすべての面を選択し、Uキーを押してUVを設定します。

空白を作っているのはあとから別のタイプの銃をモデリングしたときにそのUV情報を追加したいためです。

 

 

これで火縄銃のモデリングが完成しました。

 

続いてテクスチャリングに移りましょう。

 

 

SubstancePainterで火縄銃のテクスチャリング

実際のテクスチャリングに入る前に火縄銃がどんな素材で作られているか少しだけ押さえておきましょう。

またか…と思われるかもしれませんが作る対象がどんなものかある程度でも知ることは大切です!

いましばらくおつきあいください!

火縄銃の材質

火縄銃各パーツの主な材質について押さえておきましょう。

各パーツ、目立つ部分は以下のようになっています。

・筒(銃身)  … 鉄

・引き金、地板などのパーツ … 真鍮

・銃床     … 木

 

鉄の質感について

純鉄は銀に近い色になります。

しかし火縄銃の筒(銃身)は時代劇などで見ると黒いものがほとんどだと思います。

現代まで残っている火縄銃も多少赤茶色の錆が入っているものもあるかもしれませんが全体的に黒いですね。

これはなぜ黒いのかと言うと意図的に黒い錆を付けているのだそうです。

錆には赤さびと黑さびがあって、赤さびは鉄を腐食させますが黒さびのほうは腐食から守ってくれるのです。

高温に熱した状態から冷えていく過程で鉄の表面に黒い錆が発生し、この黑さびは表面に膜を作って腐食するのを防いでくれるのです。

テクスチャを作るときもこの黒い鉄の重厚感が出るように意識しましょう!

 

SubstancePainterで質感を付ける

各パーツ、以下のようにマテリアルを設定しました。

 

鉄   … Steel Rust and Wear という金属のマテリアルに Metal Dumpster というマテリアルを重ねました

真鍮  … Brass Pure 

木   … PW_PlankWoodBase

 

各レイヤーにジェネレーターを設定し、Dirtですこし使い込んだ質感を加え、MetalEdgeでエッジ部分に退色した感じを追加しています。

表面がかすれたり小さな傷がついているような質感を加えると「使っている感」がでてリアル度が上がります。

実際にどのようなシーンで使われていたのか、可能な限り想像を張り巡らせましょう。

まるで本当に存在しているのではないかと 見る人が勘違いしてしまうくらいのリアルなオブジェクトを作ってみてはいかがでしょうか(笑)

 

完成

これで火縄銃のモデリングとテクスチャリングは完了です。

 

 

応用 抱大筒

 

一度モデリングした火縄銃の口径、銃身の太さ・長さなど調整して大筒を作ってみました。

抱大筒(かかえのおおづつ)と言って火縄銃よりは短いですが口径のが大きい銃があります。

サイズが大きい弾丸発射したり、袋に小さい弾を詰めたものを撃ちだして散弾銃のような扱いをしていたそうです。

 

まとめ

以上、火縄銃のモデリングでした。

作業の流れをまとめます。

・資料収集

・デザインイラスト作成・構造を把握

・Blenderでモデリング

・SubstancePainterでテクスチャリング

実際の制作の前に構造、形状、質感など事前に知っておくと完成度も高くなり、作業もスムーズです。

イメージ作りは大事にしましょう!

最後まで読んでいただいてありがとうございました!

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