MAYAでモデリングしてるんだけどさ~
オブジェクト並べるのめんどくさいよね。
簡単に並べる方法ないの?
モデリングの現場では同じ形状のオブジェクトを一列に並べたりする場面がかなりあります。
そしてひたすら並べるだけなのに手作業でいちいちやっていたら時間もかなりかかりますよね。
こんな単純作業はもっと効率よく、時間短く終わらせて次に進みたい!と思う人も多いでしょう。
実はMAYAにはカーブを用意してそのカーブに沿ってオブジェクトを配置する方法があり、この方法を使えばかなり楽に配置作業が終わります!
手作業でオブジェクトコピー、座標をずらして配置、コピー、座標をずらして配置…の繰り返しの作業がなくなるわけです!
この記事では前半でカーブに沿ってオブジェクトを配置する基本の方法3種類を紹介し、後半で応用としてその機能でキャラクターをモデリングする方法を解説します。
記事を読み終えるとオブジェクト配置作業を時短で手早く終わらせる方法がわかりますのでぜひ最後まで読んでみてください。
【MAYA】カーブに沿ってオブジェクト配置する基礎
「MAYAでカーブに沿って配置する機能」を使えるようになると、例えばこのようなチェーンソーのようなもの(実際のチェーンソーとはデザイン的に異なる)を作るときに非常に楽になります。
まず上記のようなパーツを一つ作って…
それを自動で複製しまくってびゃーっと一気に並べることができてしまいます!
私はMAYAでモデリングを始めた当初、こういうパーツってひたすら手動でコピーしまくってちまちま配置していくしかないのか!?
…と絶望しかけましたが「いや、さすがにそれはないでしょ」と先輩デザイナーにこのカーブに沿って配置する方法を知ってかなり安心しました(笑)
3DCGのモデリングはただでさえ時間がかかるものですので時短できるところはガンガン時短して次の作業に進みましょう!
そのカーブに沿って配置する方法はいくつかありますが、この記事ではひとまずまぁまぁよく使いそうな3種類の方法を解説いたします。
- NURBSカーブに沿ってオブジェクトを配置する
- オブジェクトのエッジをカーブ化しそれに沿ってオブジェクトを配置する
- MASHを使いカーブに沿ってオブジェクトを配置する
では上記3種を基本的な方法としてそれぞれ軽く解説していきます。
①NURBSカーブに沿ってオブジェクトを配置する
最初はNURBSカーブを使ってオブジェクトを配置する方法を解説します。
Curves/Surfaces のタブを選択するといくつかの種類のNURBSカーブが表示されます。
今回はその中のベジェカーブを使ってみます。
3Dビュワーの数か所をクリックするとカーブが描かれます。
とりあえず適当にクリックしてカーブを作ります。
キューブをShift+Dの連打で複製しまくります。
複製したオブジェクトを全選択し、次にカーブを選択します。
①配置したいオブジェクトを選択してから➡②使いたいカーブ の順で選択しましょう。
その状態でModify➡Snap Align Objects ➡ Position Along Cube の順で選択していきます。
すると曲線カーブに沿ってキューブが配置されました。
カーブが円だったらこのようになります。
…とはいえ、この配置では何のモデリングに使えるか微妙な感じですね…
直線であれば柵のようなものは作れるかもしれませんが。。
配置したオブジェクトはカーブに沿って配置しただけですのでそこから移動することなどはできます。
以上がNURBSカーブに沿ってオブジェクトを配置する方法でした。
個人的には使いどころは微妙と思っていますがカーブに沿ってオブジェクトを配置する基本中の基本として解説してみました。
②オブジェクトのエッジをカーブ化しそれに沿ってオブジェクトを配置する
次に、オブジェクトのエッジをカーブ化してそれに沿ってオブジェクトを配置する方法を解説します。
カーブ化する予定のオブジェクトのエッジを選択します。
Modify➡Convert➡Polygon Edges to Curveと選択していきます。
円のカーブが生成されました。
カーブ化すれば、あとは①NURBSカーブを使ってオブジェクトを配置する方法と同様にオブジェクトを配置することができます。
この見た目ならリベットの付いた腕輪のようなものなら作れそうな感じはしますね。
③MASHを使いカーブに沿ってオブジェクトを配置する
3番目に解説するのはMASHという機能を使ってカーブに沿ってオブジェクトを配置する方法です。
MASHは一つのオブジェクトを複製して配置することができ、またその配置したオブジェクトを簡単に調整することができます。
①②のように最初から複製しなくてもよく、配置後に位置、形状、などをスライダーや数値で管理できるので非常に便利です。
それではひとまず実践してみましょう。
カーブと四角柱を用意します。
MASHを使うにはAnimationモードにしておきましょう。
その後メニューバーのMASH➡Create MASH Networkを選択します。
Create MASH Networkのとなりの🔲を押すとMASH Optionウィンドウが表示されますので設定を選択できて便利です。
MASHオプションウィンドウの各項目は上記のようにしておきます。(デフォルトでこうなっている場合が多いと思います)
Hide Source Objectにチェックを入れておくと複製元のオブジェクトは隠されますが後から表示できます。
GemetryTypeをMeshにしておくと複製されたオブジェクトを個別に編集することもできます。
Network NameはデフォルトのMASH#にしておくと後から追加するときにMASH1、MASH2、MASH3、とMASHに自動でナンバーが追加されるのでオブジェクトを多く扱うときはわかりやすいかと思います。
Distribution Typeは横一列にしておきます。
カーブに沿ってオブジェクトを配置するときはこの方がいいかと思います。
四角柱が複製されました。
これをカーブに沿って配置していきましょう。
アウトライナ―に生成されたMASH(ここではMASH1)を選択するとAddNodeで追加できるノードが表示されます。
そのノードの中の赤いぐにゃぐにゃ破線を選択します。
Add Curve Node します。
出てきたMASH1_CurveタブのInputCurveの項目に使う予定のカーブをマウスの中クリックでドラッグ&ドロップします。
MASHを選択した状態でうっかり左クリックなどしてしまうと項目が切り替わるので中止しましょう(笑)
カーブに沿って四角柱が配置されました。
MASH Distributeのタブでオブジェクトの数や形状、並び方などを調整できます。
少しスライダーをいじってみましょう。
DistanceやScaleなど各XYZ座標の調整で形状や配列を変えることができます。
階段状の物を作ることができそうですね。
複製元のオブジェクトを回転させると複製されたすべてのオブジェクトも回転します。
スケールも調整できます。
位置は元のオブジェクトを操作しても変わらないようです。初期の位置が影響を与えてしまうことはあるかもしれません。
オブジェクトの表面にくっついたような状態に配置することもできます。
先ほどの②オブジェクトのエッジをカーブ化してそれに沿ってオブジェクトを配置する方法で行ったように元のオブジェクトからカーブを生成します。
そのカーブに同様の方法でオブジェクトを配置しましょう。
ここでは円錐を配置しました。
スーパーマリオに登場するクッパ大王の腕輪のようなものができました。
①と②はカーブに沿ってオブジェクトを配置する基本的な概念から説明するために一応やってみました。
しかし、実際によく使うの配置したオブジェクトの操作もしやすい③MASHを使う方法になるかと思います。
数値やスライダーの調整でかなりいろいろなパターンのオブジェクト配置をすることができるので各パラメーターの意味を把握して使いかたを覚えておくといいでしょう。
【MAYA】カーブに沿ってオブジェクト配置する:応用編
ここからは、これまで行ってきた方法をの応用です。
2022年9月現在は現在少年ジャンプ+で連載中のチェンソーマンのチェーンソーをモデリングしてみます。
まずチーェンソーのガイドバーと呼ばれるプレートのようなものをモデリングします。
ガイドバーの周りをソーチェーン(刃部分のパーツ)が移動していき木を切ることができるようになるわけですね。
ガイドバーのエッジを選択しカーブを生成しました。
ソーチェーンの一つをモデリングします。
実際のソーチェーンはこのような形ではありませんが漫画内では刃が長いデザインです。
少年漫画の読者はギザギザしたものに惹かれることもあるのでしょう。
この画像ではイメージしやすいようにガイドバーの上に配置していますが複製するときは原点の位置に設置しておいた方がいいです。(複製したときに位置がカーブから外れてしまうことがあるため)
MASHを設定して一周ソーチェーンを配置しました。
この段階では MASH_CurveのStepを1,Number of Points を70程度です。
ただ、このままでは全部同じ刃の長さになっていますね。
チェンソーマンのチェーンソーは長い刃と短い刃が交互に配置されているのでその調整をしましょう。
ソーチェーンのパーツを複製し、長い刃の物をモデリングします。
同じ方法と設定で長い刃のソーチェーンを配置しました。
最初のソーチェーンは隠れていますね。
Number of Points を半分の35にします。
Offset Along Curveを0.015などにします。カーブ場を少し移動させます。
この辺りの調整で長い刃と短い刃を交互に並んでいるように見せることができます。
これで長い刃と短い刃がカーブに沿って交互に配置されているようになりました。
チェンソーマンの体と頭部もモデリングしチェーンソーを付けて完成。
MAYAのカーブを使ってオブジェクトを効率よく配置しよう!
今回はMAYAのNURBS カーブに沿ってオブジェクトを正確かつ効率よく配置する方法を解説しました。
主によく使うと思われるのは下記の3種。
- NURBSカーブに沿ってオブジェクトを配置する
- オブジェクトのエッジをカーブ化しそれに沿ってオブジェクトを配置する
- MASHを使いカーブに沿ってオブジェクトを配置する
パラメーターはいろいろな項目がありますが自分で実際に操作してみると各項目がどのような意味を持つのかわかるようになります。
そうすればモデリングをしていくうちに「このオブジェクトならこういう形が作れそうだな」と思いつくことができるようになります。
試しておいて使いこなせるようにしましょう。