今回は3DCGソフトウェア・MAYAのミラー機能の使い方を解説します。
MAYAにおけるミラーの機能はモデリングしたモデルの片側の形を反対側に適用させる機能のことです。
MAYAなど3DCGソフトでモデリングしているとキャラクターにしろアイテムにしろ左右対称にモデリングしなければならない状況がかなりあります。
そういう時、このミラーの使い方がわかっているとモデリング作業がスムーズにできるようになります。
この記事ではまずMAYAのミラー機能の使い方の基礎を解説し、そのあと応用でキャラクターをモデリングしてみます。
記事を読み終えるとMAYAのミラー機能を使ってスムーズにモデリングできるようになりますのでぜひ最後まで読んでみてください。
MAYA・ミラーの使い方:基礎編
まずミラー機能の超基本の使い方を解説しておきましょう。
このようなキューブを変形させたオブジェクトでとりあえずミラー機能を使ってみます。
メニューバーのメッシュ(Mesh)➡ミラー(Mirror)と選択します。
ここでは、ひとまず左右対称型のオブジェクトを作るだけですので以下の項目のみ設定し他の項目はそのままにApplyをクリックしましょう。
- Mirror Axis Position : World
- Offset : 0.0000
- Mirror Axis : X
- Mirror Direction : -
原点を中心にしてX軸方向に反対側にオブジェクトを生成するような感じです。
英語版でいうAxisは軸のことですね。
とまぁ、これだけでとりあえず対称型のオブジェクトをモデリングすることができます。
ご覧のようにミラーツールを使用すると3Dビューポートに小型のウィンドウが表示されますのでそこで調整をすることも可能です。
いくつか試してみましょう。
Offsetの数値を調整するとオブジェクトを中心に寄せたり、また離したりすることもできます。
AxsisをYにするとY軸方向に対称形のオブジェクトを生成します。
感覚的には上下対称という感じでしょうか(Y軸方向に左右対称ともいえばいいのかもしれませんが…)。
AxsisをZにするとZ軸方向に対称型のオブジェクトが生成されます。
手前と奥で対称型のオブジェクトが生成されたような印象ですかね。
オブジェクトが中心軸から離れているのにWorldでミラーした場合はオブジェクトに間隔ができてしまいます。
Axis PositionをWorldにしているとCGの空間の全体で軸の位置を判断するためこです。
そういうときはAxis PositionをObjectにするとオブジェクトの座標で軸の位置を決定するようになります。
個人的には原点から離れた座標にあるオブジェクトをミラーすると北、オブジェクトをうっかり中心軸から離れた場所に設置してミラーしてしまった場合にたまに使うこともあります。
上記で解説してきたようにミラーのパラメータで調整が可能ですので状況に応じて様々な形状を生成することができます。
また、たまに予想外の形状が生成されたと思って微妙に慌ててしまうことがあります。
そういう場合は+と-の方向を間違えていたとか、XYZの方向を設定し間違えているなどのケアレスミスなので落ち着いてウィンドウ内の項目を確認してみましょう。
MAYA・ミラーの使い方:応用編
単純にミラーの項目を選択するだけで対称形のオブジェクトはすぐできますが、ただの変形させたキューブでの解説では面白みに欠けるのでもう少し実際のモデリングで行いそうなことを解説してみたいと思います。
キャラクターをミラーモデリングで調整する
Modeling ToolkitのタブにあるSymmetryの項目で軸の位置や方向を設定しておくと片側のモデリング作業が反対側に反映されるようになっています。
しかし、その設定を忘れてしまっていたとき、例えばキャラクターの髪型を左右対称形にしたかったのに、髪を片方だけ調整していたことに気づいたとします。
そのときは、編集し忘れていた反対側の髪のメッシュを削除し、
ミラーですぐに左右対称形の髪型にすることができます。
手袋などのパーツを反対側に複製したいときも…
先にモデリングておいた片側の手袋をミラーですぐに生成できます。
キャラクターモデリングも扱うポリゴン数が多くなってくると何かしら作業を忘れていて左右で微妙に形状が違っていた、などという微妙に残念なことが起こってしまいます。
そんな時はさっさと反対側を削除してミラーモデリングしてしまいましょう。
武器やアイテムををミラーでモデリング
このような剣をミラーするとアクションゲームに出てきそうな剣になります。
人類の実際の歴史上はこんな武器を使っている人がいたかは不明ですが。
UV情報にも注意しましょう。
ミラーするオブジェクトにUV情報が設定されている場合、各UVが重なっていたりします。
テクスチャ編集時に不具合が起こらないようにUVエディターを確認し、整理するようにしましょう。
ローポリモデリングの場合はデータ容量の節約のためにあえて重なった状態にしておく場合もありますが。
チェンソーマンの頭部をミラーでモデリングしてみる
機械や自然物のような複雑な形状をしていたり、パーツが多いオブジェクトをモデリングをする機会もかなりありますよね。
特に機械類は左右対称形のデザインのものも多いと思いますのでミラー機能はよく用いられます。
少年ジャンプで連載され現在はWEB漫画の少年ジャンプ+で連載中、2022年10月からアニメも開始するチェンソーマンの主人公、チェンソーマンの頭部をモデリングしてみましょう。
チェンソーマン自体は機械というか機械のようなパーツがついた人でも悪魔でも魔人でもない存在…だとかの設定はあるのかもしれませんがとりあえず対称形の頭部なのでミラーモデリングしてみましょう。
このモデルも筆者の趣味でモデリングしたものです。
原作を読みつつイメージを把握してモデリングしましょう。
フィギュアなど参考にするのもいいかもしれませんね。
チェンソーマンの頭部、牙、ハンドル、などの各パーツをひとまずモデリングします。
ベベル、押し出し、ブーリアン…などの機能を使ってバンバン作っていきましょう。
ある程度パーツもモデリングし終え、形が整ってきたら…
ミラーで一気に完成。
チェンソーもモデリングし、テクスチャも作成してみました。
モデリングするオブジェクトは左右対称になるように作業した場合でも、テクスチャのほうを左右非対称にして自然なオブジェクトに見せかけるなどすることもあります。
*チェンソーや胴体のモデリングは後日、別途解説記事を作成したいと思います。
MAYAのミラー機能で効率よくモデリングできるようになろう!
今回はMAYAのミラー機能の使い方を解説しました。
ミラーの使い方そのものはきわめて単純でしたね。
対象オブジェクトを選択した状態で
と選択すれば対称形のオブジェクトが生成されます。
キャラクターや機械類は左右対称のデザインの物が多いので、ミラーの機能をうまく使ってモデリングをスムーズに進めていきましょう!