この記事では3DCG制作ソフトウェア・MAYAでのUV展開の作業手順を解説しています。
UV展開はなれてしまえば単純な作業ですがMAYAを使い始めたころはMAYAの画面内のどこを操作したらいいかわかりづらいと思います。
そこでMAYAでのUV展開の具体的な手順と作業場のコツをわかりやすく解説していきます。
この記事を読めば基礎から様々なオブジェクトのUV展開の方法がわかるようになりますのでぜひ最後まで読んでみてください
MAYAでUV展開をするときの基本概念
3DCGではキャラクターなどのオブジェクトをモデリングした後にテクスチャを設定してよりそのオブジェクトらしく見せる必要があります。
そのために模様や質感を描いたテクスチャを設定する必要があるのですが、その模様やテクスチャをオブジェクトのどの部分に割り当てるのかわかりやすく決めておく必要があります。
そのための展開図を作るような作業をUV展開と言っています。
こちらのBlenderでのUV展開に関する記事でも軽く説明しているのでお時間のある方は見てみてください。
BlanderでUV展開する方法を知りたいっす Blenderなど、3DCGのソフトを使い始めたころはテクスチャをどうやって設定すればいいのか、UV展開とはどうすればいいのかわかりづらいかと思います[…]
例えばキャラクターを3DCGのソフトでモデリングしただけだとただの人型の粘土細工のような人形でしかありません。
そこにさらに質感や模様を描いたシールを張り付けてそのキャラクターらしくしていくわけです。
CGの空間のなかでそれを行うと考えればイメージがしやすいかと思います。
その模様や質感をどの部分に設定するのか、割り当てを決める展開図を作ることを作業をUV展開と言います。
MAYAでUV展開する手順
ではここから具体的なUV展開の開設に入りたいと思います。
今回は超人気マンガ、呪術廻戦に登場する最強の呪術師・五条悟のモデルでMAYAでのUV展開を解説していきます。
筆者が趣味でモデリングしました。
このモデルをUV展開すると画像のようなUV展開図になります。
UV展開作業の大きな流れとしては以下の通りです。
- モデリングしたオブジェクトにUVを設定する
- オブジェクトのエッジにカットを入れる
- オブジェクトをUV展開する
- UVのレイアウトを整える
それでは以下より順番に解説していきます。
①モデリングしたオブジェクトにUVを設定する
最初に下準備としてモデル各パーツの位置をあけておきます。
五条悟の場合、目隠しと髪を別パーツとして離しておきます。
原作の五条悟は目隠しを外したり、さらに目隠しを外したときに髪型が変わったりしますね。
後日別バージョンをモデリングするときにその様子を念のためパーツの交換でできるようにしておこう…という発想です。
余計なUVカットの情報が入っている場合があるかもしれませんので一度削除しておきます。
モデルのエッジを全選択した状態でメニューの UV➡Delete UVs で不要なUV情報を削除できます。
UV ➡ Planar でひとまずUV情報を設定します。
UVエディターを見るとカメラビューで見たキャラモデルの形が表示されていますがひとまずはこれでOK です。
UVエディターはメニューバーのUV➡UV Editorクリックで表示できます。
②オブジェクトのエッジにカットを入れる
メニューバーの UV➡3D Cut and Sew UV Tool でUVツールを有効にします。
これでメッシュのエッジにUVカットを入れることができるようになります。
「カット」と言っていますが展開図上にカットを入れるだけであり、実際のメッシュはつながったままです。
カットを入れたいエッジをクリックすることでカットを入れられます。
- シングルクリックでエッジ一つにカット
- ダブルクリックするとつながっているエッジを一直線にカットします。
- 一か所エッジを選択し、Shift+右クリックでもう一か所エッジを選択すると その間のエッジを一列カット
- カットを入れるエッジを間違えた場合はCtrl+左クリックで解除可能
腕や胴体などに一周カットを入れるときはダブルクリックが便利です。
カットが入ったエッジは白く表示されます。
UVツールでSymmetryを設定しておくとモデルを左右対称にカットを入れることができます。(ここではObjectX,オブジェクトのセンターを起点に左右対称)
方、腕、手首、脚、足首など、左右が同じ形状の場合は設定しておくと時短になりますね。
頭部は後頭部、耳の周囲、口回り、目の周り、
体の側面、腕の下側(下側なら目立たない)
手は親指側から小指側まで一直線にカットが入れられるといい感じです
カットを予定していたすべての場所に入れました。
③オブジェクトをUV展開する(Unfold)
UVのカットが入れられたらUV展開図作成します。
これは簡単で、UVjカットしたオブジェクトを選択した状態でUVEditorの Modify ➡ Unfold (ショートカット: Ctrl+U)で展開できます。
UV展開しました。
…しかし、なんだかごちゃごちゃしていますね。
これを整理していきます。
Unfoldした段階で各メッシュパーツのサイズ比率はだいたい正しいはずですが、たまに極端にパーツが小さかったり大きかったりすることがあります。
これはヒストリが残っていたり、スケール値がそろっていないなどの理由が考えられます。
サイズ比率がおかしい場合はヒストリ削除とフリーズをしてみましょう。
④UVのレイアウトを整える
先ほどの重なっていたメッシュのパーツなどを整理します。
UVエディターの Modify➡Layout (ショートカット Ctrl+L) でレイアウトが画像のように整理されます。
…しかし、今回の場合はスキマが目立ったり、各パーツの向きが不揃いなので手動で整理することにしました。(やりたくはないのですが)
スキマを有効活用しよう、と思い素手で並べなおしました。
本来は同じパーツは近い場所にあったほうがわかりやすいと言われているような気もしますが、スキマを埋めるという点を重視して並べなおします。
ただこの作業はあまり時間をかけても楽しくはない作業なので実際に仕事で行う際は工数など考えてほどほどにしておきましょう…。
UVエディターのチェッカーマップを使うと各メッシュのサイズ比率を確認できます。
ここでチェックの模様のサイズ比率に極端に違いがあるとパーツごとにテクスチャの解像度がおかしくなります。
不自然だなと感じたら調整してみましょう。
これでMAYAでのUV展開は完了です。
これでテクスチャを描画することができるようになりました。
この記事では、このあとSubstancePainterでテクスチャ設定していきます。
SubstancePainterでテクスチャ作成・MAYAでレンダリング
SubstancePainterでテクスチャを作成した画面です。
UV展開した図の各パーツに質感などが設定されていることがわかるかと思います。
MAYAでポーズを付けてArnoldでレンダリングしました。
MAYAでUV展開して
今回はMAYAでのUV展開の手順を解説しました。
もう一度手順を確認しておきましょう。
- モデリングしたオブジェクトにUVを設定する
- オブジェクトのエッジにカットを入れる
- オブジェクトをUV展開する
- UVのレイアウトを整える
UV展開は実際のモデリングやテクスチャ政策の作業に比べれば地味な作業ですがこれをうまく実行することでモデルの出来栄えに差が出ます。
またプロジェクトの規模によってはテクスチャの担当者が異なる場合もあるでしょう
手順をマスターして後に続く作業がスムーズにできるUV展開とレイアウト調整を心がけましょう。
CGソフトの使い方を学ぶには専門学校や3DCGのスクールに通うことが近道です。
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