3DCGのキャラクターアニメーションをうまく作れるようになりたいっす。
どうしたらいいすか?
3DCGのキャラクターアニメーションはいろいろなパターンがあるのでどうすればいいんだーと悩んでしまいがちです。
実はこの記事で紹介する3種類のアニメーションの作り方をマスターすれば他のたいていのキャラクターアニメーションを作ることができるようになってしまいます。
私もゲーム会社のアニメーションチームに配属された最初のころ、これら3種のアニメーションの作り方を覚えてから次々と他のアニメーションも作れるようになったからです。
3Dでキャラクターアニメーションを作るコツは何か、というとアニメーションごとに細かいコツがいろいろあります。
中でも特に よ~く観察すること、人間の体の動きの原理を知ること、作るキャラクターがどんなものであるかを理解すること。
多くのキャラクターアニメーション制作に共通する大事なポイントとしてこういったこと挙げられます。
これから紹介する3種類のアニメーションを作っていく過程でそれらの重要なポイントを自然と身につけられるのです。
この記事では多くのアニメーションの基礎となる3種類のアニメーションを紹介し、また3Dのアニメーターとして心掛けるとうまくいくコツも5つ紹介します。
記事のタイトルや見出しでは「Blenderでのアニメーションの作り方」としていますがこれはMAYAなど他の3DCGのソフトにも適用できます。
この記事を読むと、3DCGでキャラクターアニメーションを作るうえでの基礎やポイントを把握でき、かっこいいアニメーションがガンガン作れるようになります!
Blanderでのキャラクターアニメーションの作り方
最初にBlenderでキャラクターアニメーションを作る方法を解説しておきます。
この記事のメインのテーマは作り方のコツのほうなので軽く説明しておくにとどめます。
具体的な方法は後日 別記事でまとめようと思います。
Blenderでキャラクターアニメーションを作る手順(Blender内だけで行う場合)
趣味で作った鬼滅の刃の煉獄杏寿郎で解説していきます。
①キャラクターモデルを用意します。
②ボーンを用意します。(Shift+A → アーマチュア → Human(Meta-Rig)で取得できます)
③ボーンの関節の位置をキャラクターの体型に合わせます。
④これでアニメーションが作れます。フレームごとにキーを設定して各瞬間のポーズを作っていきましょう。
MixamoとBlenderでキャラクターアニメーションを作る方法
ボーンとリグの設定が面倒だと感じたらMixamoを使ってみましょう。
MixamoはWeb上で3Dキャラクターのリグとアニメーションが作れるサービスです。
ゲーム用のアニメーションならMixamoで一度アニメーションを作ってBlenderで調整するのもいいでしょう。
使い方は以下のMixamoの使い方の記事にまとめました。
3DCGでアニメーションを作るって時間かかるよね…早くできる方法知りたいな~ ボーンをいれてコントロールリグを設定してそこから手付でアニメーションさせる。 それらの作業全部を自分の手で行うのはけっこう時間がかかり[…]
Blenderでゲームのキャラクターアニメーションをうまく作れるようになる3つの基本の動き
ここからは私がゲーム会社で配属されていたアニメーション制作チームで最初に作るように指導された3つの基本のアニメーションを紹介します。
この3種類のアニメーションが作れると チームのリーダーが新人を現場に投入してもOK!と判断されていた超基本の3種類のアニメーションを解説します
まずその基本アニメーション3つを紹介しましよう
①歩く
②走る
③ボールを投げる
人間の体の動きを表現しようとするとき、ポイントとなるものは無数にあります…。
その中でも特に重心の移動や胴体、胴体の動きなどを考えることが重要になってきます。
例えば歩くアニメーション一つとっても普段から普通にやってる動作だからすぐにできるだろうと思って作ります。
しかし指導担当の先輩社員にみてもらうと「このタイミングでは重心の位置がもっと片足の上にのっているようにしたほうがいいね~」のようなダメ出し(アドバイス)を受けて修正することになります。
そのダメ出し~修正の流れ絵を何度か繰り返しているうちに一つのアニメーションが完成します。
その過程で自然と無数にあるポイントを理解し表現できるようになっていきます。
初期段階でこの3種類のアニメーションをうまく作ることができればそれらを応用する発想で他の様々なアニメーションも作りやすくなります。
各アニメーションの作成上のポイントとともにどんなほかの動作につなげられるか見ていきましょう。
①歩くアニメーション
歩きのアニメーションを練習で作った鬼滅の刃の猗窩座(あかざ)で軽く解説します。
全ての基本となるアニメーション。
普段から行う動作でありながら3Dアニメーションで作るとなると最初は意外と難しいものです。
重心移動、背骨の動き、手足の連動など、歩きのアニメーションを作ることで学べることはたくさんあります。
(画像↑)歩くアニメーションを横から見た画像です。
オレンジ色の点は重心の位置を表しています。
歩く動作に従って重心が上下していることがわかると思います。
この歩きのアニメーションはMixamoからインポートしたほぼそのままのデータですが、赤い線を中心にしたときに重心にいちばん近い腰のボーンが地面についている足の方向に移動していることがわかるかと思います。
人が歩いているとき重心の移動とともに背骨は微妙に曲がりながら左右に振れています。
まったく動いていなかったり、逆に動きすぎていると不自然になります。
その微妙な動きを観察によって理解し、表現できるようにしていきましょう。
自分で実際に歩きながら体の動きを観察してその動きを感じ取りながら作るといいアニメーションになるでしょう。
歩きのアニメーションが作れるようになると、応用して蹴りのアニメーションも作りやすくなります。
蹴りの動作は重心の移動が歩きのアニメーションに近いものがあります。
脚を高く上げて腰を前に押し込むようにすると蹴りの動きになります。
②走るアニメーション
歩きのアニメーションが作れたら次に走りのアニメーションです。
走りのアニメーションは歩きのアニメーションに比べて重心の上下左右の動きや手足の振りの幅が大きく少し難易度が上がります。
地面を蹴って体が浮き上がったり重力に従って下がったり、といった動きが自然に見えるように作っていきましょう。
走りのアニメーションの作り方をマスターすることでジャンプや他の大きめのアクションアニメーションが作りやすくなります。
③ボールを投げるアニメーション
3つ目の基本動作、ボールを投げるアニメーション。
一瞬のタイミングにあわせて力を強く発揮するアニメーションです。
- の立状態から
- の予備動作に移行し、
- で一歩前進に踏み込み胴体をひねり出しつつ腕を振り、
- フォロースルー、完全に体重が前足側に乗ります。
ここでも重心の移動や胴体のひねりの表現がポイントになります。
この投げるアニメーションのような、重心を前方に大きく移動し体をひねって腕を振りぬく動作はアクションゲームの攻撃の動作に応用ができます。
ボール投げのアニメーションの応用①:パンチを打つ
例えばパンチを打つときも、
- の構えの状態から
- でタメ(予備動作)を作りつつ一歩前に出て重心を移動させ、
- で一瞬打撃を入れつつフォロースルー。
一歩前に出つつ重心移動、胴体をひねって腕を前方に押し出す。
脚と胴体の動きはボール投げの動作に共通しています。
ボール投げのアニメーションの応用②:刀で斬りつける
剣を振るアニメーションも一歩前進し重心を移動させ剣を持つ腕を振り下ろすという基本は同じです。
- の構えの状態から
- でタメ(刀を振り上げる)を作りつつ一歩前に出て重心を移動させ、
- で一瞬刀を振り下ろしつつフォロースルー。
日本の剣術の刀を振り下ろす動作は胴体をほとんどひねりません。
しかし踏み込んで重心を移動させるという点はやはり共通しています。
ボールを投げる動きを作れると、アクションゲームの腕を使った攻撃のアニメーションがほぼすべて作れるようになります。
3Dのアクションゲームを何か一つでいいので思い浮かべてみてください。
そしてその中に登場するキャラクターが何をしているかというと、おそらくほとんどゲームのマップを歩いたり走ったりして移動しいるか、敵を攻撃しているのではないかと思います。
歩くアニメーションに関しても立った状態から歩きだすアニメーション、止まるアニメーション、「歩く」から「走る」に加速するアニメーション、、、、とリアルさを求めるゲームなら一人で数十点になることもあります。
走るアニメーションも同様ですし、攻撃もパンチかキック、武器を振り回す、手から魔法を出す、銃を手で持って撃つ、武器を投げる、といったものになるでしょう。
これが上の3つの作り方を経験していればゲームに登場する大多数のアニメーションが作れるようになるという理由です。
会話をする、食事をする、ダメージを受けて倒れる、などももちろんあるでしょうがそれまでに覚えた重心の移動、胴体の動き、各体のパーツの連動などを理解できているのでそれほど問題にはならないでしょう。
アニメーションチームのリーダーは、新人がこれらの基本をマスターしたらあとは制作の現場に放り込んで実践で細かいところは覚えてもらえばいい…と判断できるわけです。
基本がある程度はできていれば多少面倒なオーダーが来ても何とか乗り越えていけることでしょう(笑)。
3DCGでキャラクターアニメーションをうまく作れるようになるコツ5つ
ここまでこの3つを作れるようになると他のアニメーション制作がしやすくなる、という基本アニメーションの話を紹介しました。
ではここからはキャラクターアニメーションを作るときに心掛けていくとうまくできるようになるコツを5つ紹介していきます。
私自身が所属していた制作会社で周囲のアニメーターが言っていたことや、私自身も感じたこと、海外のCGデザイナーも言っていたことをまとめてみました。
だいたいみんな同じことをあげていましたので昔も今も日本国内でも国外でも根本的な部分は同じなのかもしれませんね。
②動かすキャラクターがどんな人か(動物・機械などの場合も)よく考える
③扱いやすいデータでアニメーションを作る
④自然現象、物理法則を理解する
⑤よりおもしろい動きになるように表現を追及する
①実際に動く人を観察する
何より一番大事なのは観察です。
アニメーションを作り慣れたベテランでも制作するときには自分で体を動かしたりして体がどう動くのか確認しています。
3DCGのアニメーション制作するチームの部屋には大きな鏡が置いてあることが多いです。
みなさんその鏡の前で木刀などの小道具を振って動きの確認をしています。
ドラゴンのアニメーションを作る人は腕を振って翼で羽ばたく姿をイメージを頭の中で作っています。
動画を見るのももちろん役に立ちます。
今はYoutubeでトップアスリートや野生動物の動きまでも見ることができますね。積極的に活用しましょう。
こうして書いてみるとCGのアニメーターは怪しい人に思えてきますがこういった姿勢が作品に命を吹き込むのでしょう…
②動かすキャラクターがどんな人か(動物・機械などの場合も)よく考える
人間や動物の体の構造がどうなっているか理解することは大事です。
また体の構造や動きだけ見るのではなく、さらに一歩踏み込んでこのキャラクターはなぜこのような動きになっているのか考えてみましょう
性格、体格、感情やシチュエーションも観察・想像する・キャラクター性を考える →より感情移入がしやすいアニメーションになる。
・「食べる」というアニメーション
豪快な男性キャラが空腹時にご飯を口の中にかきこむ、という動作と上品でクールな女性キャラがマナーにのっとって高級フランス料理を食べるのでは違う
・剣を振って敵を攻撃するというアニメーション
筋肉質の巨漢が怒号とともに力任せに大剣を振り下ろすのと、居合の達人が鋭い眼光で冷静に日本刀を一閃するのは違う
・ライオンが跳びかかるというアニメーション
母親のライオンが子供ライオンを守るために外敵に立ち向かう時にとびかかるのと、若い兄弟のライオンがじゃれ合っているときに相手のライオンにとびかかるのでは違う
③扱いやすいデータでアニメーションを作る
なるべくリグはシンプルなものに設定する。
映像作品の場合はレンダリング直前、ゲームでもゲームエンジンなどに書き出す直前の作業まではなるべくポリゴン数が少なめのモデルで作りましょう
データが重いとアニメーションの再生が鈍くなりますので。
④自然現象、物理法則を理解する
主に重力、慣性の法則、空気抵抗、摩擦、予備動作、加速、トップスピード、停止時に出る反動、、いきなりトップスピードにはならないし、いきなりぴったり止まれない 微妙に反動が生まれるなど。
武道の達人は攻撃に出るときにあまり予備動作が出ないような動きをすると思われているかもしれませんが実際は動き出す前に重心が微妙に動いていたりします。
一般人には認識できないレベルで少し動いているようです。機会があったら観察してみましょう。
⑤よりおもしろい動きになるように表現を追及する
単純に動きを再現する所で観察と思考を止めるのではなくどうしたら面白い動きになるか、迫力のあるアニメーションになるか、かわいい仕草になるか、など表現の部分を大切にしましょう。
再現ではなく表現だ、と言う人もいます。
アニメーションのメリハリ、誇張や省略を使う。
静と動、タメとキレを意識する。
現実の世界で行われる動きを観察して再現するところから練習では始めますが
映像作品やゲームでは演出として動くスピードやテンポを調整したりすることも多いです。
ゲームとして面白い動きはどんなものか、映像として映えるアニメーションは何か追及しましょう
3DCGの業界でもゲーム・映像制作会社にかぎらず、アニメーター、アニメーションデザイナーとよばれる職種は人材が不足しがちです。
クリエーター向けの転職サービスや人材派遣・紹介を行っている会社の方が「最近は3DCGのアニメーションができる人の求人が多いっすね~」という話を年中されていたりします。
3Dゲームの制作会社の中でもプロジェクトが動き出すと「社内だけでは3Dのアニメーターが足りなくなりそうだから対応してくれそうな他の制作会社を探さなきゃ…」みたいな話をよくしています。
人材が不足しがちで、出来るアニメーターは引っ張りだこな状態です。
将来はとにかく何か3DCGで仕事がしたい!みたいな人もアニメーターを選択してもいいかもしれません。
フリーランスで3DCGデザイナーになりたい人もモデリングとアニメーションが両方できると仕事のチャンスも増えるでしょう。
また制作会社が在宅3Dアニメーターを募集していることもあるので、3Dゲームのアニメーション制作が副業でもできるかもしれません。
3DCGアニメーション作りが3ヵ月でうまくなれる方法
- CGでアニメーションをうまく作れるようになりたい方
- CGアニメーターになりたい人
- CGアニメーターになりたいけど専門学校は学費が高い…
このような方は、TECH STADIUMのアニメーションコースを見てみましょう。
TECH STADIUMはなんと3ヵ月でMaya、モデリング、アニメーションを学べるオンラインスクール 。
講座は何月からでも開始できますし、すべてオンラインで完結します。
CGの専門学校に通うと2年とか、かなり時間がかかってしまいます。
しかしこの講座ではうまくすれば冬に始めて春にはCGアニメーターになってるなんていうことができるかも?
CGでアニメーションを作りたい方、アニメーターになりたい方はまずオンラインでできる無料相談を受けてみましょう!
アニメーターになるための無料相談はこちらから
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まとめ:
今回はBlenderや他の3DCGソフトでアニメーションを作るうえで基本となる3種のアニメーションと作るときのコツを5つ紹介しました。
もう一度それらを復習してみましょう。
①歩く
②走る
③ボールを投げる
②動かすキャラクターがどんな人か(動物・機械などの場合も)よく考える
③扱いやすいデータでアニメーションを作る
④自然現象、物理法則を理解する
⑤よりおもしろい動きになるように表現を追及する
これら基本アニメーション3種類をマスターし、うまくなれる5つのコツを意識していけどんどんうまくなっていくでしょう。
3DCGアニメーション制作のコツは言葉にするのが難しい点も多いですがみなさんが実践を繰り返し、経験を積み上げていけば自然とうまくなっていきます。
より良い表現をできるように追及していきましょう。